ヴィム・ヴェンダースが監督をし、役所広司がカンヌで主演男優賞を獲ったという『PERFECT DAYS』。
平山は訥弁で無口な初老の男。役所広司は表情で演技をする。
判で押したような日々に見えて、少しずつ違う。
少しずつ違うことを喜ぶが、大きく変わることにおびえる。
人間関係に乏しいように見えて、案外人との関わりがある。
ふとした人との関わりに笑顔を見せるが、誰とも深く関係しない。
平山は「影」の揺らぎに興味を示す。
木漏れ日、川面、屋根に反射する通行人の影。
平山はカセットテープしか聴かない。
最初に流れるのはアニマルズ『朝日のあたる家』。石川さゆりも日本語詞でこの曲を歌う。
パティ・スミス、アルバム『Horses』から『Redondo Beach』。
ルー・リードは2曲。Velvet Undergroundの『Pale Blue Eyes』と『Perfect Day』。
オーティス・レディング『The Dock Of The Bay』。など。
金延幸子という人は知らなかった。『青い魚』。
平山は文庫本を古本屋で買う。
ウィリアム・フォークナー『野生の棕櫚』。
幸田文『木』(もっと評価されていい)。
パトリシア・ハイスミス『11の物語』(不安と恐怖の違いを教えてくれた)。
木が友達の人生は寂しいのか。木を友達にできることこそ幸せなのか。
孤独について。家族について。会話について。音楽と小説について。酒と煙草について。男と女について。お金について。笑顔と泣き顔について。