これは、ある種のホラー小説。しかもノンフィクション。
著者の想像で語られる部分も多いし、また、証言者の発言もすべてが正しいわけでもないだろう。
ただ、全編を通して読むと、小池はサイコパスの典型としか思えない。
(著者が本の中で小池を「サイコパス」と言っているわけではない。ちなみに中野信子氏は小池について「女性には珍しいサイコパス」とコメントしている)
もともと政治家にはサイコパス傾向の強い者が多いとは言う。
とはいえ、都民が彼女をサイコパスの典型例と知らないまま知事にいただくのは、「恥ずかしい」を通り越して、ホラーでしかない。
純粋な邪悪さがどれほど恐ろしいかを知らない人は、まわりにそのような人がいないから想像ができないだけ。猟奇的な殺人犯に対して「本当の動機を知りたい」と詰め寄っても無駄なのと一緒で、純粋に邪悪な人の思考は、常人には想像が及ばない。
自らの不利益を知りながら平然と嘘をつく人は、自信に満ち溢れているので、誰もが騙され、惑わされてしまう。その性格的な破綻に気付くのは、甚大な被害を被った人だけだ。
本人の抱える空虚さとはいかばかりなのか、どれほど深い暗黒と親しまざるを得ない人生だったのか、そんなことにも思いを馳せてしまうほど、とても恐ろしく、とても悲しい一冊。