徒然MEMO

もともとは読書日記。今はよしなしごとをメモする場として。

塩田武士「盤上のアルファ」

著者は元神戸新聞文化部記者。
登場人物の掛け合いが面白い。



「9八角」の一戦は、初手2六歩から、銀のぶつかり合い、
千日手模様からの馬と飛車の交換、そして、終局まで、
2007年のNHK杯羽生善治中川大輔戦の棋譜が忠実に再現されている。
解説の加藤一二三九段をして、「NHK杯史上に残る」と
言わしめた有名な一局。
文庫版解説の先崎現九段が「指し手ひとつひとつは
私が読んでも破綻がない」とするのは当然だ。

なお、羽生中川戦では、

・先手は振り飛車党ではない。

・2二同金で「あれ……」と言ったのは、
21歳の女流棋士ではなく、加藤一二三九段であった。

・後のインタビューによると、9八角は「形作り」だった。
ほんとかね。意地っ張りだよ、あの人も。

NHK杯は、最後は1分でなく30秒将棋。
八角は、ギリギリの29秒目で指された一手。

盤上のアルファ (講談社文庫)